さかい医院。川崎市中原区の内科・循環器科診療所。武蔵小杉駅より徒歩8分。生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病)、心臓病(虚血性心疾患、不整脈)。

脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症

血液中の「あぶら」(脂質)が多い病気です。
具体的にはコレステロール・中性脂肪・リン脂質・遊離脂肪酸の4種類があり、コレステロールと中性脂肪(代表はトリグリセリド)重要です。

放置した場合は、増えた脂質が血管の内側にたまり、動脈硬化となります。
動脈硬化だけでは、自覚症状がありません。
心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こして、やっと高脂血症が病気とわかることが多いです。

脂質異常症(高脂血症)

  1. コレステロールだけが多い(高コレステロール血症)
  2. 中性脂肪のみが多い(高中性脂肪血症)
  3. (1)+(2)の両方とも多い

 

総コレステロール、とくにLDL(悪玉)コレステロールが多いと動脈硬化が進行します。
中性脂肪が多いと、HDL(善玉)コレステロールが減ってLDLコレステロールが増えやすい。

善玉・悪玉コレステロールとは

善玉・悪玉はコレステロールのことです。

  • 善玉はHDLコレステロールであり、体の中で余ったコレステロールを回収します。
  • 悪玉はLDLコレステロールといい体の中で余ったコレステロールを全身に置いていきます。

 

つまり、悪玉が増えて善玉が減ると、血管の内側に脂肪分がたまり、最終的には動脈硬化を起こしてしまいます。 大切な栄養素で、細胞や細胞膜の成分、ホルモンや胆汁酸などの材料にもなるため、全てが悪いものではありません。

体内にあるコレステロールの7割前後は、体内で合成されています。

高コレステロールの人はこのシステムに乱れが生じて、コレステロールを蓄積しやすくなっていているからです。いま体内にある分も減らさなければいけないんですから、食事からとるコレステロール量を減らすことは、とても重要です。

脂質異常症は自覚症状が出にくい

自覚症状はほとんどありません。

人によっては、目の回りに黄色腫という黄色い脂肪のかたまりが出たり、アキレス腱が肥厚(厚くなる)することがあります(眼瞼黄色腫・皮膚結節性黄色腫・腱黄色腫) 。しかしごく一部の人であり、多くの方は無症状です。

健診でコレステロールが高いと言われても・・・

定期健診で早いうちに発見できて、「コレステロールが高いから、再検査や精密検査を受けるように」といわれても、自覚症状がないからと放置する人が結構多いです。

参考までに、企業健診で異常を指摘される確率は非常に高いです。放置しても将来的には自分(家族)が困るだけなので、正しく治療を行うようにしてください。

脂質異常症の分類

従来の「高脂血症」は、2007年より「脂質異常症」となりました。

総コレステロールは診断に使われなくなりました。これは様々な病気は、LDL(悪玉)コレステロールが高い場合に起こりやすくなるため、LDLコレステロールを基準に判断することとなりました。

 

脂質異常症の診断基準(空腹時採血の血清脂質値)

 高LDLコレステロール血症  LDLコレステロール 140mg/dL 以上
 低HDLコレステロール血症  HDLコレステロール 40mg/dL 未満
 高トリグリセリド(中性脂肪)血症  トリグリセリド 150mg/dL 以上

  

治療方針の原則

カテゴリー

脂質管理目標値(mg/dL)

LDLコレステロール以外の
主要危険因子

LDL-C

HDL-C

トリグリ
セリド

一次予防

 

まず生活習慣の改善を行った後、薬物治療の適応を考慮する

1 (低リスク群)

160未満

40以上

150未満

2 (中リスク群)

12

140未満

3 (高リスク群)

3以上

120未満

二次予防

 

生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮する

冠動脈疾患の既往 100未満


※ LDLーC以外の主要冠危険因子
 加齢(男性:45歳以上、女性:55歳以上)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症等)の家族歴、低HDLーC血症(40mg/dL未満)


※ 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症があれば、カテゴリー3になります。

non HDLコレステロール(non HDL-C)値

動脈硬化性疾患予防ガイドラインが改訂になり、はじめてnon HDLコレステロール(non HDL-C)値という指標について言及されました。

 

non HDL-C値は、TC値からHDLコレステロール(HDL-C)値を引いた値で示されます。

抗動脈硬化作用を有するHDLの影響を除いたものであるため、LDL、IDL、VLDLをはじめ、レムナントやsmalldense LDL等の動脈硬化惹起性の高いリポ蛋白を総合的に判断できる指標として注目を浴びています。

 

non HDL-Cの利点としては、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 日常診療で測定するTCおよびHDL-Cから簡便に計算でき、TCおよびHDL-Cは食事の影響を受けにくいので、空腹時以外の採血時でも使用できる。
  2. TG 400mg/dl以上の高TG血症の患者でも、nonHDL-C値を指標とすることができる。
  3. インスリン作用不全による糖尿病患者の脂質代謝異常や、メタボリックシンドロームなど低HDL-C血症、高TG血症が前面へ出てくる脂質異常の管理には、LDL-C値よりもnon-HDL-C値が指標として用いやすい。

 

しかし、現段階では日本人の研究が不十分であり、今後確立してくるものと思われます。

脂質異常症は、まずは食事療法が重要

8割以上は多くの生活習慣に関連した原因が重なって発症します。

原因として、遺伝的な素因のほかに、過食、高脂肪食、運動不足などの悪い生活習慣や、それによる肥満があげられます。つまり、食事に関係した要因が多いです。だから、脂質異常症は、まず食事に心を配って食生活を適正に保つことが重要です!

脂質異常症は食事内容に注意

食品中のコレステロールというと、コレステロールを多く含む食品ばかりを気にしがちですが、体内のコレステロールを増やしやすい食品もあるため、それらを避けることがもっと大切です。

血中のコレステロールを増やす食品として明らかになっているのが、飽和脂肪酸です。逆に体内のコレステロール値を下げる働きをするのは、不飽和脂肪酸を多く含む食品です。コレステロール値を上げる食品は、少量でも体内のコレステロールを増やしやすいので注意が必要ですし、下げる食品は積極的にとることをおすすめしますが、油や果物はとりすぎに注意してください。 

ポテトチップスは食品としてはコレステロールを含んでいません。チョコレートや即席麺に含まれるコレステロールもわずかですが、体内でコレステロールを増やす働きがあります。 コレステロール値が正常な人は、多く含む食品は気にしなくても結構ですが、すでに高コレステロールといわれている人は、多く含む食品も控えめにとるようにしましょう。

最後に、コレステロール(脂っこいもの)を控えているつもりでも、甘いもの、夜遅い時間の食事などカロリーが多い食事や食後の消費せず就寝することが多い場合にも、コレステロールが上昇することがあります。生活が便利になり、高カロリーのものが24時間手に入るようになった反面、このような病気が増えていると言われています。自分の生活で高カロリーのものを口にしていませんか?

EPA + DHA = サプリ?医薬品?

中性脂肪が高い方へ、EPA&DHAを薬として処方することがあります。
EPA&DHAといってもサ○○リーのサプリメントではなく、健康保険適応(=3割負担)となっている医薬品です。

「血液をサラサラさせる」「記憶能力や学習能力が増加する」「美肌効果がある」など様々なことが言われているため、
サプリとして飲まれている方も多いのではないでしょうか?


「魚肉をたくさん摂取する民族は動脈硬化に関する病気が少ない」と言われていることから研究が進み、
EPA:エイコサペンタエン酸
DHA:ドコサヘキサエン酸
が注目されるようになりました。

2つはオメガ3脂肪酸に分類される成分で、体内で作ることができないため必須脂肪酸とも呼ばれています。
※通常は食事から摂る必要があります。

このEPAとDHAは
 ・肝臓でトリグリセリドの合成を抑制
 ・血液中でトリグリセリドの分解を促進

つまりトリグリセライド(=中性脂肪)を相乗的に下げる効果があると考えられています。


さらにオメガ3脂肪酸は、血小板の凝集を抑制(=血液をサラサラにする)作用があり、
狭心症や心筋梗塞の方には効果があると言われ、現在医療機関にて処方されています。


参考までに、サプリメントよりもEPAやDHAを 5〜10倍の高濃度で凝縮することで医薬品として利用されています。
サプリメントに含まれるEPAやDHAは量が少ないので「本当に効果があるかどうかは不明」と言っている方もいるようです。