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心房細動とは

通常は心房が洞結節からの刺激により規則正しく収縮しています。
一方で心房細動は、心房自体で発生した刺激に応じて、無秩序に頻回に不定の興奮を繰り返し、不規則に収縮しています。心房の収縮も不十分となり、しばしば左房内に血栓が形成され、全身の諸臓器に血栓塞栓をおこします。さらに頻脈となることが多く、心不全を発症しやすい状態となります。

心房細動の70歳以上の有病率は、女性で1〜2%、男性で3〜4%、一般住民では1.3%と言われています。

心房細動の分類

2010年の欧州心臓病学会のガイドラインより、
初発心房細動:初めて診断された心房細動
発作性心房細動:通常48時間以内に洞調律へ回復
持続性心房細動:7日以上または除細動を要する
長期持続性:1年以上
永続性
※経験的に48時間以上持続した場合は自然停止が見込めず、洞調律回復には抗凝固療法が必要となる。

CHADS2スコア
C:心不全 1点(Congestive heart failure)
H:高血圧 1点(Hypertension)
A:年齢  2点:75歳以上(Age)
D:糖尿病 1点(Diabetes mellitus)
S:脳卒中 2点(Stroke/TIA)

1点以下でも抗凝固療法が有効な事が示され、

上記に加えて
CHA2DS2-VAScスコア
V:血管疾患 1点(Vascular disease)
A:年齢   1点:65〜74歳(Age)
Sc:女性  1点:女性(Sex Category)

Framingham研究では、心房細動のある人とない人を比べて、男性で1.5倍、女性で1.9倍死亡率が高いと報告されています。北欧の大規模登録研究でも、65歳未満 1.76倍、65〜74歳1.36倍、75歳以上1.24倍の死亡率です。

心房細動の危険因子

大規模コホート研究で以下の確立され多因子があります。

年齢、高血圧、心不全、心筋梗塞、弁膜症、男性、糖尿病、肥満、アルコール、甲状腺機能亢進症など

 

これ以外にも確立されつつある因子として、

疾患:メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、潜在性甲状腺機能亢進症(FT4、FT3正常かつTSH低値)

身体的因子や生活習慣:高身長(10cm上昇で26〜32%増加)、喫煙、高レベルの耐久トレーニング

遺伝的因子:家族歴、特定の遺伝子、人種差(黒人>白人>アジア人)

バイオマーカー:BNP、ANP、CRP、IL-6、左房径

 

単発的な報告では、

低マグネシウム、心房期外収縮頻発、関節リウマチ、尿酸値(特に女性)、心外膜脂肪、潜在的冠動脈狭窄、左室拡張不全、生下時体重、正常高値血圧、低HDLコレステロール、低LDLコレステロール(発症率低い)

本当に多くの因子が関係して心房細動を発症しています。

心房細動の薬はハイリスク・ハイリターン

心房細動の抗凝固療法で、広くワルファリンが使用されています。最近では直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)も発売され、治療の選択肢が広がっています。

 

ワルファリンの脳梗塞における1年間のNumber Needed to Treat(NNT:治療必要数)は25人、死亡においては42人と算出されています。参考までに、プラバスタチンの心血管イベントではNNT208、メトホルミンの総死亡ではNNT141とのことです。

次に、ワルファリンの大出血における1年間のNumber Needed to Harm(NNH:有害必要数)は、HAS-BLEDスコア 3点以上の人において27と報告されています。

ワルファリンによる脳梗塞予防と大出血は隣り合わせという事になります。

 

久山町研究より、心原性脳塞栓の発症後の1年生存率は 50%と半分、5年で 20〜30%程度と予後が悪いことが報告されています。

抗凝固療法はハイリスクですが、適正使用により多くを救うことが出来ると考えられています。

プライマリ・ケア医が多く参加するFUSHIMI AF Registryでは、ワルファリンが多く使用されてあり、登録1年後の脳卒中/全身性塞栓症は2.9%、大出血 4.3%と報告されています。

 

直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)
脳卒中の発症率はワルファリンと同等、頭蓋内出血が少ないと報告されています。
これは各種研究が進行中です。 

通院中の心房細動で脳卒中の発症が少ない?

ある先生より、「心房細動で通院している人はいるが、脳卒中は少ない」と伺うことが多い気がします。

個人的な見解ですが、
脳卒中を発症した場合、以前から通院されていたクリニックを受診されますか?

1年間の発症率を1%としても、10年間で10%、20年間で20%の方が心房細動を発症し、心房細動がある場合 4.8倍脳卒中を発症しやすいとされています。
心房細動から生じる心原性脳塞栓症は、介助が必要な状態、寝たきり、死亡する確率が高く、他の医療機関へ受診されているのではないでしょうか?

つまり、元の主治医は知らないだけ、かもしれません。

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